詩 六編
平坦な坂
坂道から転がり落ちるのは我がカタマリ
夕暮れの橙色の光線が
背中を押して
全て溶かして
それは嘗て
側にあって
でも
消えてしまった
坂道が吸い込んだ
我がカタマリ
すれ違う人々
なぜかしら 笑顔
生じるワダカマリ
消えるカタマリ
余剰は留まり
見えぬ光
嗚呼 消えゆく
身体よ
心よ
せめてその輪郭だけでも
我に与えよ
空が・・・
雨の色が
薄紫に変化して
身体に染み込んでいく
左手は
すっかりと冷たく
動かなくなって
指先から
染まっていく
空は
いつまでも暗く
僕は仕方なく
ひたすらに泣く
底から湧きあがる衝動
その蠢きは芥に過ぎず
崩れゆく痩躯
混じる寂寞
いつのまにか頭上には 蒼天
気が付かずに歩き続ける人々
どこまでもどこまでも
見上げることなく
下を向いて
薄紫の雨の匂いだけを
いとおしそうに
抱きしめて
擬似回顧
喉の奥に
髪の毛が二、三本
ただ絡みついて
声を変換する
「ハジメマシテ」
「アナタハワタシノコトガスキデスカ?」
「イツモココにイルノデスカ?」
無限の鏡を覗き込む
歯磨き粉が頬についている
喉の奥を覗き込む
髪の毛なんて見えない
差し入れた指に咳き込む
吐き出した液体に血が混じっていた
今日は晴れなのだろうか
日差しが強すぎれば
私は眼を失う
映るもの全てが紛いモノ
悲しいけれど在りし日の
面影求める愚か者
鏡に映る真実はあるの?
冷たい水が歯に染みる
心地よい信号
声はもう戻らないだろう
眼もそのうち消えるだろう
留まらぬ流動
鏡に水をかける
そして
歪んだ私が呟く
「オメデトウ」
黒い羽
アスファルトと土が
不自然に混じる道端
蟻が蝶の羽を曳いている
黒く大きなアゲハ蝶
今は片翼だけ
蟻が蝶の羽を曳いている
ああヨットのようだとは思えない
その黒い羽は裏切りのオブジェ
その黒い羽は罪を隠すブランケット
羽の持ち主が
モンシロチョウならば?
モンキチョウならば?
シジミチョウならば?
私が見たのは蟻が曳いて行く黒い羽
闇の中で泣きじゃくる誰かがいる
暗闇に目が慣れないからか
もとより私の目が見えないのか
誰なのか分からない
黒アゲハの羽は見え
泣きじゃくる誰かは見えない
救えない
おそらくその二つは同じもの
二対の羽がぴったりと閉じるように
その二つもぴったりと閉じるのだろう
あるいは一枚のコインのうらおもて
同時には見えない
見たくても見ることが出来ない
道端の蟻は巣の入り口へ辿り着く
でも
黒くて大きなその羽を
どうすることも出来ないのだ
抜け殻
大寒の冷気は
さすがに身体を凍らせた
私は躯となって部屋を眺める
なんて空っぽなんだろう
机 炬燵 壁 本棚 テレビ 壁
どれも爪で弾いたらパリパリと崩れるだろう
そこには空っぽだけが残る
透明なテレビのスイッチをオンにすると
白と黒の鏡が現れる
その中から手が伸びてきて
額を爪で弾く
やはり私はパリパリと崩れてしまった
何てことだろう
そこには空っぽすらないのだ!
私は淋しくなって
炬燵にもぐりこんで
そのまま眠った
リターン童貞
酒と寝て
女を飲んだ
コンドームを頭から被っているから
視界が歪んだ
ピンクやグリーンの
薄っぺらなゴム
甘ったるい匂い付き
股間で舌を動かしているのは
明日なのか、昨日なのか?
童貞野郎が四人集まって
缶蹴りしているんだ
俺も仲間に入れてくれ
その缶は絶対に宝物だ
でも、目が覚めたらいつもの布団
白い体液と
半透明の体液が
混じった匂いのする布団
女の寝顔にマッキーで
落書きしてやろう
おでこに「肉」って書こう
そして、放って置いて出かけよう
でも、忘れちゃいけないことがある
リーバイスのボタンをかける前に
頬にそっとキスしよう
残り雪の塊に
必殺キック
骨まで痺れたら笑いだそう
どうせ俺は童貞には戻れない
戻りたくても戻れない
せめて雪に名前でも書こうか?
白か黄色かどっちにしよう
排気ガスで薄汚れた雪だから
白いほうがカッコイイ
8分26秒後
雪の画用紙の上に書いたんだ
リターン童貞の
「リ」の文字を
俺にはこれが限界なんだ
やっぱり俺は童貞には戻れない
〈後書き〉
初めて詩を載せます。他のサイトに投稿していたのですが、今回まとめて載せることにしました。詩は僕にとって文章表現を高める作業であり、自分の中の塊を削る作業です。だから、詩とは呼べないかもしれません。お恥ずかしい・・・。しかし、まあこれも僕の断片です。ちなみに他サイトに投稿していない作品を〈まあ、書き下ろし〉一つ載せました。最後の「リターン童貞」です(笑)単純に内容的に投稿できないのと、これは明らかに銀杏BOYZへのオマージュです。模倣です。だから、銀杏BOYZの歌詞を読んでから読んでほしいです。そうじゃないと、これが僕の心の叫びと思われてもキツイので(爆笑)では、今後もたまり次第UPしますので、詩の感想もヨロピコです!