『短歌 十首』
白無垢の半紙にひとつ染み落ちた墨の如くに我はありしが
限りなく延ばし掴んだ手の中は生暖かき夢か芥か
雑踏の音掻き消して鳴り響く踵の重さ地を蹴り歩む
曙の強い光を吸い込んだ黒い眼に炎灯るか
振り絞り我は歌えど高らかに伸びゆく声は我のものかと
目の前の鏡の中に対峙する彼は我を嘲笑いしが
どこまでも変わらぬ空を見上げては青の強さに涙を流す
窓叩く風に怯えて潜り込む布団の中のほのかな温み
手を解き 涙を流し俯いた 君の言葉は唯−ごめんね−と
このみちをあるいてゆこうどこまでもたったひとつのなにかのために
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