『人間椅子』
私はいつでも
あなたを見つめています
あなたの座る
その椅子に潜んで
あなたが椅子に座る度に
あなたを抱きしめているのです
あなたが椅子に座る度に
あなたのその体温に
あなたのその香気に
あなたのその脈動に
ああ
私はクラクラするのです
今日もあなたは
私に座って下さるのですね
『あなたさえいれば…』
女は言う
「私はあなたを愛している」
男は応えない
女は言う
「あなたさえいれば他に何もいらない」
男は応えない
女は言う
「空腹になったら
あなたの躰を齧ればいい
喉が渇いたら
あなたの血を啜ればいい」
やはり男の応えはない
女は囁く
「あなたさえいれば……」